500円食べ放題! 赤字前提の食堂「はっちゃんショップ」|忍者猫 ブログ

500円食べ放題! 赤字前提の食堂「はっちゃんショップ」

・秋葉原でも1000円で
凄いボリュームのお店があるが・・・

京都の上賀茂にも
500円バイキングあるが、
こっちの方が質が上。
文句なしに日本一でしょうね。

いまどきワンコインで食べ放題
田中はつゑさん(82)は、
現役のライダーだそうだ。

ロックですな^^


500円食べ放題!
赤字前提の食堂


「はっちゃんショップ」

「気分よかったねえ。
だってあれ、自動車より
高いんだってよ。
そんな大っきな高級バイク
を何台も引き連れて走ったんだから。
サイコーだよ」

前歯のない口元を気にしながら、
それでも「はっちゃん」こと
田中はつゑさん(82)は、
ニカッと満面の笑みを浮かべてみせる。

彼女が誇らしげに打ち明けたのは、
この取材の前日の出来事。
それは、ちょっと奇妙な光景だった。

群馬県桐生市。

上毛電鉄の線路に沿って
延びる県道を、

ハーレーダビッドソンなど
大型バイクの集団が、
ゆっくりと東に向かって走っていく。
冷たい「赤城おろし」が
吹きつけるなか、

重低音を響かせ走る
大排気量のバイクの群れを
引率するようにして、
先頭にはとうに傘寿を
過ぎた高齢女性が、
小さな原付バイクに
またがり走っていくのだ。

「バイクはいまも普通に乗ってるよ。
だってバイクがなくっちゃ、
仕入れにも行けないがね。
今年のお正月も、
片道7時間かけて、
バイクで東京まで遊びに行ったんだよ」

こともなげな口ぶりで、
はっちゃんは続ける。

「昨日は旗日だったろ。
うちは旗日、休みなんだよ。
なのに、県外からバイクで7人も
食べに来ちゃって。

がっかりした顔で
『ほかに食事できるとこ、
ありませんか?』って聞くからさ。

わざわざ遠方から来てくれたのに
申し訳ねえなって思ったんさね。
それで、近くで娘が
やってるラーメン店、連れてったんだ」

はっちゃんはここ桐生市で
20年前からランチ限定の
食堂を営んできた。

その名も「はっちゃんショップ」。

手作りの家庭料理が1人500円で、
時間無制限の食べ放題。
日替わりで20品ほどが
大皿に山と盛られて台に並ぶ。
その料理が売り切れると、営業終了。

開店は11時30分だが、
その時刻には連日、
ひなびた店の前に
長蛇の列ができる。

20年前の開店当初、
はっちゃんが定めたのは、
「県外客は無料」
という仰天ルールだった。

「だって、何十軒、
何百軒って数の食堂を通り越して、
うちまで来てくれるんだよ。
そのぐらいサービスしなくちゃ」

当初こそ地元客がほとんどだったが、
異次元のコストパフォーマンスと、
はっちゃんの飾らない人柄が
口コミで広まり、
やがては客の多くが県外から来るように。

「だから、申し訳ねえけど
県外のお客さん無料ってのは、
もうやめた。
だって売り上げが
1銭にもならなくなっちまうがね」

申し訳なさそうに言うが、
はっちゃんのサービス精神は尽きない。

いまも小学生以下の子どもは、
どれだけ食べても無料。


また、おかずが残り少なくなって
から来た客には、

「300円だけ、もらっとこうか」
ということもあれば、

「金はいらね。
残りもんだけど
腹いっぱいになるまで食べてけ」
と言うことも。

遠方からの客には、
いまだに
「これでジュースでも飲んで帰って」と
、逆に小遣い銭を渡すことさえ
あるというから驚きだ。

当然、店の経営は赤字続き。

はっちゃんはその赤字を、
夫が残してくれた遺族年金で
補填しながら営業を続けている。
そんな赤字覚悟、
いや赤字前提の超ユニーク食堂を、
メディアも放っておかない。


ここ数年は海外メディアを含め、
多くの取材が殺到している。

「テレビに出たいなんて、
オレは一回も言ったことねえ。
向こうからお願いされるから出るんだよ。

先週も、タイのテレビ局が取材に来た。
4人で来たかな。
こっち(日本)じゃ、
やんないってよ、
放送しないって。

テープっての? 
それは送ってよこすって言ってたけど」

記者が訪問した日。
「今日はきっと暇だ」と、
はっちゃんは言ったが、
それでも開店と同時に、
20余りの席の9割が埋まっていく。

「熱いのいくよ、どいて、どいて!」

客でごった返す店内に
威勢のいい声が響く。
厨房から火鉢まで、
小柄なはっちゃんが大鍋を抱えて走る。

「ほら、群馬の名物、
ほうとうだよ、みんな食べな」

はっちゃんの言葉に、
客がわれ先にと鍋を取り囲む。

この日も、サバの味噌煮、
鶏皮の炒め物、
かぼちゃの煮物などなど、
たくさんの料理が所狭しとならんだ。
ふかしたての山菜のおこわからは、
もうもうと湯気が立ち上る。

「おこわ、おいしい~」
「このサバ味噌、超うめえ」

という客のうれしそうな声が、
あちこちから聞こえてくる。

そして、すっかり膨れた腹をさすりながら、
食堂を後にする客に、
「ありがとね~」と、
一人ひとり声をかけ、見送るはっちゃん。

「皆が喜んで、うちに来てくれるなら、
ちょっとぐらい損したってかまわねえ。
だから値上げなんて絶対しないし、
これからもずっといまのスタイルで
続けるつもりだよ。

皆は金、金、言うけどさ、
もう、オレは墓も立てたし、
金の心配はしてねえ。

あとは、そうだな、
この店でバタッと倒れて
そのまま死ねたらいいな。

『おいしい、おいしい』って、
ニコニコしてるお客さんたちに
囲まれて死ねたらサイコーだよ」

午後1時を回ったころ、
店の入口の引き戸が
ガラッと開いた。

はっちゃんは、
振り返りもせずにこう言って、
新しい客を迎え入れる――。

「もう、残りは少ししかねえよ。
金はいいから、食べてけ!」





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