インフルエンザはただの風邪？　新型コロナはインフルエンザの一種？　スペイン風邪はインフルエンザ｜忍者猫　ブログ

インフルエンザはただの風邪？　新型コロナはインフルエンザの一種？　スペイン風邪はインフルエンザ


スペイン風邪はインフルエンザ（H1N1）です


風邪に限らず、感染症は免疫がその感染症にうまく働くことができれば
感染しても発症せずに済んだり、治ったりすることができます。

致死率50%のエボラ出血熱のウイルスも、半分は死にますが
半分は生き残ります。


SARSも10人に1人は死にますが、9人は生き延びますね。
インフルエンザは1000人に1人が死ぬくらいで、999人は生き延びます。


そして獲得免疫も自然免疫もうまく機能している若年世代であっても
このウイルスと相性が悪ければ死にます。

それも自分の免疫がウイルスに対して暴走して
急性肺障害(ARDS)や多臓器不全という状態を起こします。



間質性肺炎という肺炎を起こすというのも現時点でわかっていて
この変化は不可逆性である、つまり治らないで後遺症を残す可能性もあります。





「風邪」というのは正式には「風邪症候群」と呼ばれる"症状名"で
特定の原因病原体による感染を意味するものではありません。


風邪の原因病原体となると、200種類以上あるとも言われていますが
ウイルスだけでもライノウイルス、コロナウイルス
アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス等々があり

その他にも細菌や真菌など枚挙に暇がない多種多様な微生物が
「風邪」の病原体として知られています。


で、風邪とは上部気道への感染を主徴とする咳や発熱などの症状を
指すわけですが、これらの中で症状が若干強く重篤化
しやすい病原体については取り扱い等が分けられています。

取り扱いとはその疾患を診断した医師が行政に
報告義務が課せられたりワクチンが開発されたり
あるいは特定の防疫措置が執られたりします。


この代表的なものがインフルエンザや新型コロナウイルス感染症（COVID-19）です。


「インフルエンザは風邪の一種」というのはある意味正しいですが
ある意味間違っています。

診断されれば「インフルエンザ」という行政に報告義務がある
（定点なので全数ではない）５類感染症として扱われることになるので。




インフルエンザはオルソミクソウイルス科インフルエンザウイルスA
またはB属に属するインフルエンザウイルスAまたはB

というウイルスの感染による感染症で
新型コロナ（COVID-19）はコロナウイルス科
ベータコロナウイルス属に属する


SARS-CoV-2というウイルスの感染による感染症なので
科レベルで異なるウイルスの感染症です。

ちなみにインフルエンザウイルスもけっこうややこしいのですが
まあ良いとして、コロナウイルスはたいへんややこしいです。


実はコロナウイルスと呼んでいるのは、コロナウイルス科に
属するウイルスの総称で、特定のウイルスを差す言葉ではありません。

コロナウイルス科は2019年現在、２亜科、５属、２６亜属、４６種という分類になっています。

ウイルスの分類は４～５年毎に見直されるので、今後も増えるでしょうし
再分類もされるでしょう。



この中で、アルファコロナウイルス属に属するヒトコロナウイルス229E
ヒトコロナウイルスNL63、ベータコロナウイルス属に属する
ヒトコロナウイルスOC43、ヒトコロナウイルスHKU1の４種
がいわゆる「風邪」の原因となるコロナウイルスです。


ベータコロナウイルス属には他にMERSコロナウイルス（MERS-CoV）
SARSコロナウイルス（SARS-CoV）
SARSコロナウイルス２（SARS-CoV-2）の
３種が重篤化しやすいコロナウイルスとして

法的に別扱いされるウイルスとなっています。


新型コロナの原因ウイルスのSARS-CoV-2に関しては
発見されて間がないウイルスということもあり、近々再分類される可能性は高いです。


ちょっと興味深い話がありまして、現在は単なる風邪ウイルスと
なっているヒトコロナウイルスOC43は、19世紀末に起きた
ロシア風邪の原因ウイルスだった、という説が
この20年ほどの間に信憑性を増しています。


このロシア風邪は19世紀末にパンデミックを起こし
全世界で100万人ほどが死亡した疫病で、人類がまだウイルスという
微生物をやく知らない時代だったので
原因は特定されておらず


H3N8のインフルエンザウイルスという説が比較的有力視されていました。


ちなみに日本でも流行し、「お染風邪」と呼ばれていたそうです。


味覚・嗅覚障害、長期の倦怠感など、新型コロナとよく似た後遺症も記録に散見されるようです。