名著『逝きし世の面影』 『江戸という幻景』より 江戸時代は人間は動物を大層可愛がったそうだ|忍者猫 ブログ

名著『逝きし世の面影』 『江戸という幻景』より 江戸時代は人間は動物を大層可愛がったそうだ

名著『逝きし世の面影』 『江戸という幻景』より 江戸時代は人間は動物を大層可愛がったそうだ

江戸時代は人間は動物を大層可愛がったそうだ
物質的には豊かではなかったでしょうが
どちらが幸せでしょうか

心が豊かな時代
人物に巡り合いたかったな
現代ではなかなか難しいですよね



天明・寛政の頃、ある僧が江戸からの帰り木曾山中で馬に乗った。
道の険しい所に来ると、馬子は馬の背の荷に肩を入れ
「親方、危ない」と言って助ける。


あまりに度々なので僧がその故を問うと、馬子は
「おのれら親子四人、この馬に助けられて露の命を支えそうらえば
馬とは思わず、親方と思いていたわるなり」と答えた。



この馬子は清水の湧く所まで来ると、僧に十念を授け給えと言い
僧が快諾すると、自分は手水を使い、馬にも口をすすがせて
馬のあごの下に座ってともに十念を受けた。


十念とは南無阿弥陀仏の名号を十遍唱えることをいうのであるが
この男は僧を乗せる時はいつも賃銀は心まかせにして
その代わりに僧から十念を受けて、自分ら家族と
馬とが結縁するよすがとするのだということであった。


なるほどこれは格別に奇特な男であって、それゆえに
『畸人伝』に録されもしたのだろう。


しかし、この男の信心にべつに感心しない現代人たるわれわれも
馬とともに十念を受けるという行為にはなにか
溜息のようなものが出る。


江戸期の日本人はこの男に限らず、馬を家族の一員とみなしていたようだ。


明治十一年に馬を乗り継いで東北地方を縦断したイザベラ・バードは
難所にかかると馬子が馬に励ましの言葉をかけ通しなのに気づいていた。

そしてこういう情愛は馬のみならず、牛・鶏から犬・猫のたぐいに
至るまで及ぼされたのである。


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